第壱夜 御曹司。

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「麗様、お待たせして申し訳ありませんでした。こちらが麗様のお部屋でございます」 「うおー、すげぇ部屋!ここだったら麗ちゃん仕事ばっちりできるね!」 がちゃりとドアを開けるなり歓声をあげたのは麗様ではなく雅則様で、やはりこの人は元気なんだななんて苦笑いを浮かべる。麗様は何も言わずに部屋をぐるりと見渡していた。そんな様子を少し緊張しながら見つつ、俺は麗様が持ってきたものを慎重に部屋へと運び込む。 何も言わないながらもどうやら麗様は気に入ってくれたらしく満足げな表情で部屋を見ている(少し笑っているような気もするけど)(、気のせいか?) 「麗様、こちらに置いておいてよろしいでしょうか?」 『ありがとうございます』 「んふふ、そういえば麗ちゃんお仕事の調子はどうなの?一時期スランプだったみたいだけど最近はちゃんと作れてる?」 『はい、おかげさまで』 「良かった!俺、麗ちゃんの作品好きで何個か持ってんだ!また作品できたら見せてよー」 『わかりました』 スケッチブックと何の違和感もなく会話する雅則様にこちらが違和感を抱きながら全て運び終えてほっとしていると麗様が俺のところまで来てぺこりと頭を下げてから自分の良いように持ってきた作りかけの作品や普段使っているであろう道具、そして資料を置いていく。 この部屋のベッドが小さいのも家具が少ないのも麗様の作業スペースをできるだけ多く確保するためだったのかもしれない(麗様熱血したら周りが見えなくなりそうだし…)(もしかしたら寝ないのかな) そういえばさっき雅則様が麗様の作品いくつか持っているとか言っていたけどネットで調べたら俺の到底手の届きそうにない金額の作品ばかりだった記憶が…やっぱり金持ちは違うってことですかね。 そんなことを考えながら麗様の動きを見ていたもののそれも終わったのか早速作業に入ろうとしていて邪魔だというようにこちらを見つめられているのに気付いて慌てて頭を下げて夕食の時間だけ伝えて雅則様と一緒にいそいそと部屋を後にする。 「あ、そだ!純也の部屋ってどこ?」 「純也様のお部屋はこの廊下の一番でございます」 「りょーかい!じゃあ、俺の部屋にお願いします!」 「かしこまりました」 .
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