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影村さんに案内されるままに入った部屋は使用人が住むには豪華すぎる部屋だった。
煌びやかな小さなシャンデリアが天井からぶら下がっていて、天蓋付きの大きなベッドがに立派な机とクローゼットがある。
俺の想像していた使用人が住み込みで働くような部屋ではなかった。
「えー…っと、こんな豪華なお部屋俺が使って大丈夫ですか?」
「ええ、こちらにご案内するように言われておりますのでこちらで間違いありません」
影村さんが顔色一つ変えないあたりお金持ちの人からすればこれくらいは当たり前なんだろうなと、自分との価値観の違いに驚かされる。でも、こんな豪華な部屋なんか使ったこともないし徐々に慣れていけばいいかと思って取りあえず持ってきた荷物をベッドの上に置いてそこに腰掛けてみると思った以上に身体沈んでまた驚いて「わっ!?」と小さく声をあげてしまった。
影村さんはそんな俺を凝視したあとにくすりと笑って(やっぱり見られたのか…)(、恥ずかしすぎる)机に近づいてその上にある分厚いファイルを俺に手渡した。
それが何かわからないままに取りあえず促されるままそれを開いてみたらそこにはびっしりとパソコンで打った文字が並んでいて、予想外のことに目を丸くしては影村さんに視線を向ける。
「か、影村さん…これは?」
「貴方がここで仕事をするために覚えていなければいけない基本知識や用語、この屋敷の見取り図などが入っております」
「は、はぁ…」
「紅花さまは勉強熱心な方だと聞いておりますのでこれくらい軽いものでしょう?」
にっこりと満面の笑みにも関わらず凄い威圧感を帯びている影村さんに俺は何も言い返すことが出来なくて苦笑いを浮かべながら拒否も出来ないし、取りあえずそのファイルを開いてページを見てみる。
「…この人たちはどなたですか?」
「そちらの方々はこちらの屋敷にお住まいになられている方々です。つまりは紅花さまのご主人様たちとなりますね」
「へ、へぇ…若いんですね、皆さん」
ぱらぱらとめくっていると目に入った4人の男の子は俺より年下の子もいて、俺とは全く違う生活を送ってきた彼らにどう接すればいいんだろうかと小さくため息をはく。
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