あえか。

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そこには大きな桜の木があった。 春風に花びらを舞わせながら、その中心で美しくも重厚さを併せ持つ古木。 満開を迎えたそれは、見事に咲き誇っていた。 俺はその木をただ見上げていた。 「あれ?人がいる。」 不意に聞こえた、他人の声。 それには驚きの色が含まれていた。 見上げていた視線を声の方向へと変える。 そこには、目をパチクリさせる少女の姿があった。 茶色い髪に桃色がかった茶色い瞳。 大人っぽい顔立ちなのに、こちらを見つめる目にはまだ幼さがあり、不思議な子だと思った。
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