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実際喋ると、一言二言が精一杯。
特にヤンキー相手だと。
『尚人くん、財布出そうか?ん?』
眉毛がなくて、ピアスがたくさん開いた顔を近づけられ、低い声でそう言った。
「持って、ない」
ドキドキしながら、やっと一言喋れた。
「仕方ない、そんなら身体で払って貰おうかね」
ニヤリと、気味の悪い笑みを浮かべたヤンキーB。
『え、おま、男もいけんの?』
『やることは一緒だろ。...ただ場所が違うってだけだ。それに.....』
ヤンキーBは俺の目に掛かっていた前髪を上げた。
殴られるかと思った俺は強く目を瞑った。
なかなか待っても訪れない痛みに恐る恐る目を開いた。
「?」
目の前には、何故か顔を赤くしたヤンキーが黙って立っていた。
どうしたんだ?
風邪か?
熱でもあんのか?
『お、おい、たた、たっちょん!超やべくね!?』
ヤンキーAが顔を赤くしたまま、たっちょん(ヤンキーB)に叫んだ。
何がヤバいんだ。
ヤバいはこっちのセリフだ。
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