1487人が本棚に入れています
本棚に追加
弱すぎだろ、俺。
ちょっと怒鳴られただけで、泣きそうになるなんて、
男としてダメだろ。
頭の中では抵抗しなきゃって思ってる、だけど体が上手く動かないんだよ。
グイッ
「!?」
ヤンキーに掴まれていない方の腕を誰かに強く引かれた。
ヤンキーも驚いたような表情をしていた。
当の俺は、俺の腕を引いた人に正面から抱き締められている。
引かれた瞬間に体を反転させられ、正面を向かされたからだ。
.....誰?
『『すいませんっしたぁぁぁぁ!』』
えぇぇ!?
な、なに?
姿は見えないけれど、さっきまで、偉そうにしていたヤンキー達の声が震えていた。
直ぐにガチャッと言う音が聞こえ、
ヤンキー達が屋上から出ていったことがそれで分かった。
「....あの、ありがとぅ」
俺を抱き締めている人にお礼を言う為に顔を上げて言った。
俺の声は尻窄みに小さくなっていく。
顔色はさっきのせいで青だったのがさらに深青に。
足はガクガク、心臓バクバク。
だいたい、予想はついてると思うけど、
俺を助けてくれた人はヤンキーでした。
それも、ただのヤンキーじゃない。
この、ヤンキー高校の全員から恐れられているモノホンのヤンキー。
瀧本嶺也<タキモトレイヤ>だったから。
最初のコメントを投稿しよう!