#いち

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弱すぎだろ、俺。 ちょっと怒鳴られただけで、泣きそうになるなんて、 男としてダメだろ。 頭の中では抵抗しなきゃって思ってる、だけど体が上手く動かないんだよ。 グイッ 「!?」 ヤンキーに掴まれていない方の腕を誰かに強く引かれた。 ヤンキーも驚いたような表情をしていた。 当の俺は、俺の腕を引いた人に正面から抱き締められている。 引かれた瞬間に体を反転させられ、正面を向かされたからだ。 .....誰? 『『すいませんっしたぁぁぁぁ!』』 えぇぇ!? な、なに? 姿は見えないけれど、さっきまで、偉そうにしていたヤンキー達の声が震えていた。 直ぐにガチャッと言う音が聞こえ、 ヤンキー達が屋上から出ていったことがそれで分かった。 「....あの、ありがとぅ」 俺を抱き締めている人にお礼を言う為に顔を上げて言った。 俺の声は尻窄みに小さくなっていく。 顔色はさっきのせいで青だったのがさらに深青に。 足はガクガク、心臓バクバク。 だいたい、予想はついてると思うけど、 俺を助けてくれた人はヤンキーでした。 それも、ただのヤンキーじゃない。 この、ヤンキー高校の全員から恐れられているモノホンのヤンキー。 瀧本嶺也<タキモトレイヤ>だったから。
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