第1章 【交わる者】

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 世界は、とある戦士達によって守られていた。人知れず、悪の怪人と戦い民を守るその姿、彼等が登場する乗り物からなぞられてこう呼ばれていた。  『仮面ライダー』と。  しかし、この世界には仮面ライダーはいない。この世界は怪人という概念が存在しない世界だからだ。仮面ライダーは娯楽の1つであり、役者が演じその映像を放映し楽しむコンテンツとなっている。  だが、民は知らない。この世界にも『怪人』という概念が存在し始めたことを。その怪人から民を守る仮面ライダーがいる事を。 「はぁ~やっぱカッコイイわ、仮面ライダーダブル」  都内のとある私立高校の教室でスマートフォンから流れる仮面ライダーを見る女子高生がいた。その映像は仮面ライダーダブル。風都を舞台とした2人で1人の仮面ライダーだ。 「それは演じてる桐〇〇とか〇田〇〇とかがイケメンだからでしょ?」 「ちっがうよ!!そんなだったらライダー全員イケメンだわ」  女子高生の席の前にいるのはクラスメートの男子高生。彼女とは違い、あまり仮面ライダーには関心がないようである。 「何故、こんな特撮ヲタになっちまったんだよ……。前まではノーマルのJKみたいだったじゃん!!」 「ハマる理由なんかないっつうの!!あ~ダブルも良いけどドライブもいいのよね~」  どっぷりライダーに浸透している女子高生にため息を吐きながら、男子高生は教室を後にした。女子高生は男子高生に構わずスマートフォンで仮面ライダーを視聴していた。
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