第1章 【交わる者】

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「結局、ダブル2話見ちゃった。早く帰って続き続き」  女子高生はあれから下校時刻までずっと仮面ライダーを見続けていた。ちなみに彼女は所属する部活に入っていない、所謂帰宅部と呼ばれる部類だ。  辺りはすっかり暗くなり、夜とさほど変わらない程だった。ここ最近は女子高生が襲われるような事件が多く、両親からも度々注意されてきた。 「ん?」  人気のない路地を歩いていると、遠くから何かを貪るような音が聞こえてくる。女子高生はその音が一体何なのか、足を止め音の鳴る方へと歩みを進める。  そこは小さな工場跡地で、決して人が寄るような場所ではないところだった。だが、そこから先程の音がより大きく聞こえる。間違いなく、ここから鳴っている。 「何なんだろ?まさかアマゾンがいるのかな……?」  アマゾンというのは仮面ライダーアマゾンズという最近の仮面ライダーに登場する怪人の総称を指す。奴等は人を喰らう怪物として表現された怪人だ。  恐る恐る中に入ると、そこには1つの影があった。まるでそれは化け猫のような影でより一層恐怖を駆り立てる。 「いやいやいや!こんな世界にアマゾンなんかいるわけ―――――ッ!?」  刹那、後ろから掴まれる感触。これはアマゾンではなく、ただの犯罪者かと思いもがき騒ごうとしたがそこにいたのは薄い服を着た短髪の青年だった。 「あまり声を荒立てるな。逃げちまうだろ」 「へ?あっ…」  青年の言葉に何を言っているのか分からなかったが、少し除くとやっと理解した。そこには野良猫が市販のツナ缶を懸命に食べている光景だった。
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