第1章 【交わる者】

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「送って貰っちゃってすみません」 「いいって。この時間に一人で帰すワケにはいかねぇし」  あれから1時間以上仮面ライダーの話をし続けた。結果として未成年が出歩いてはいけないギリギリの時間までかかってしまった。繁華街も何処も閉店し、人もいない。  そんな場所を歩いていると、黒服の男が2人を囲むように現れる。彼等はサングラスで素性で隠しているが、体格からして格闘技を嗜んでいるように伺える。 「……これって将さんのお知り合い?」 「だったら嬉しいんだけどね」  瞬間、男達は同時に2人に襲い掛かってくる。将は女子高生の身体を持ち上げ、お姫様抱っこのように持てば襲い掛かる男達を軽快なステップで回避していく。  そして、振り切った男の脚を足場に飛び陣のように囲んでいた場所から逃れ繁華街を駆けていく。 「アクション映画で滾ってきますね!!」 「これ、現実だから忘れないで!!」  繁華街を過ぎ、小さな広場に来ると今度は屈強な偉丈夫が将と女子高生の前に立ちはだかった。そして、後を追うように黒服の男達も将達の後ろに現れる。 「まさか、この世界にいるとは思ってもいなかったよ。赤津将」 「まさか、この世界で何かやらかそうとしてるのかよ。財団X」  2人の会話に理解が追い付かない女子高生。何故偉丈夫に対して財団Xと呼んだのか、この世界とは一体何なのか。だが、これから起きる事が現実で起きるとは思ってもいなかった。 「悪いが、貴様が持つアンプル全て返して貰うぞ。ウガァァァァ!!!!!」  刹那、偉丈夫が雄たけびを上げると体に紫電が走り形状を変えていく。そして紫電が消えると偉丈夫の姿はなく、仮面ライダーでよく見かける禍々しい突起物と蜘蛛を模した怪人へと姿を変えていた。 《マスカレイド》  偉丈夫が蜘蛛怪人に姿を変えると、後ろの男達はダブルに登場するガイアメモリを取り出し体に差し込むと劇中でザコ敵のような立ち位置であるマスカレイドドーパントへと姿を変えた。  普通ならば、こんな信じられない光景に恐怖する筈。しかし、彼女は違った。 「まさかまさかの!!怪人とマスカレイドドーパントとかキタコレ!!」
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