001 それは自然に突然に

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反射的に振り向くと、教室内の前のほうにある、ベランダへと続く扉。 その周辺には先程悲鳴を上げたであろう女子生徒達と、呆然とした様子で立っている、男子生徒がいた。 「……え?」 男子生徒は扉のノブまで伸ばしかけていた手で空中を切ると、小さくそう疑問を呟いた。 ここは三階、不審者集団がベランダから侵入してくるとは思えないけれど、用心に越したことはないと扉の施錠をしようとしたのだろうか。 それとも、数こそ少なくなったものの未だに鳴り続ける不審な音が彼の好奇心を掻き立てたのか。 怯える彼の視線の先には、ここからはよく見えない扉の向こう。 「そこから離れろ!」 間髪入れず切羽詰まったような大声がどこからか発せられた、途端。 轟音に続いて、一拍遅れての悲鳴。 続けてまた何回か耳をつんざく爆発音のような音が響き、先程のベランダの扉が宙を舞って吹っ飛んでいくのが見えた。
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