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「あー、悪ィ。もう、寝るわ」
「はぁ?!」
唐突に出された就寝宣言に、思わずガラの悪い声が飛び出た。
が、シオンはそれを全く意に介さず、頭をボリボリと掻く。
「しゃーねェだろ。オレ等はお前と違って睡眠が要るんだよ」
言われてみればイオリも随分と眠そうだったような気がする。
そちらに目を向けると、こっくりこっくりと船を漕いでいた。
「また明日ゆっくり話してやるから、一旦頭ん中整理しとけや」
シオンはもう一度大欠伸をすると、イオリを抱え上げる。
スヤスヤと既に寝息を立てているイオリは、少し唸ってシオンの腕にしがみついた。
「んじゃ」
片手を上げると、シオンは部屋から出て行く。
が、襖を閉める直前に思い出したように立ち止まって、翔大を振り返った。
「部屋からは出るなよ。もし外で何かに襲われても、オレは責任取らねェからな」
物騒な台詞に呆然としている翔大を尻目に、シオンは今度こそ襖を閉めた。
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