第一話 黒い猫と黒い鬼

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(何で、生きて……? っここどこなんだ!?)  未だこの場にいる全員は、目の前の光景に夢中らしく、翔大の存在に気づいていない。 一人だけ違う制服の彼は、ぐらぐらと揺れる頭から必死に知恵を振り絞ろうとする。 と、そこに、 「見ーちゃった」  涼やかな声がいやにはっきりと響き渡った。  急激に空気の温度が下がっていき、音が遠ざかる。 カツン、カツンとそこに一定のリズムを奏でながら、彼らは姿を現した。  一人は雪よりも白くきめ細やかな肌に、ルビーよりも紅い宝玉のような瞳をした、黒髪の少女。 もう一人は日に焼けた健康的な褐色の肌、サファイアをはめ込んだような瞳に、紫がかった黒の短髪を逆立てた男性。 二人とも黒い袴に衣、ブーツを着ており、少女は右目を、男性は左目を、それぞれ眼帯で覆っている。 「いーけないんだー、いけないんだー♪」  子供が歌うようなそれを口ずさむ彼女は、指先でくるくると何かを弄んでいて。 その場にいる人々の視線はそこに集まっている。 「閻魔様ーに言ってやろー♪」  ガシャ、と音を立てて回転を止めたそれを、彼女は構える。  黒く光る、拳銃を。  
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