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「はい、ざんねーん」
が、少女の声に重なった発砲音に、動きを止めた。
そして、そっちは任せるとばかりに少女に背を向ける。
飛び交う銃声。
小さくなっていく悲鳴。
それらが全て止んだのは、それから僅かに数分後のことだった。
床には足の踏み場も無い程に、生徒達が折り重なって倒れている。
窓の近くにいた生徒が一人だけ、その場にへたり込んで呼吸をしていた。
その生徒の吐く息が、徐々に笑い声に変わっていく。
「当然の、報いだ……ははっ……僕を、いじめたんだから……!」
熱に浮かされたようにぶつぶつと呟く彼を、男は一度だけ隻眼に映した。
目の前に広がる光景に翔大は息も出来ずにただ、呆然としていた。
が、やがて意識が戻ってくると同時に、恐怖心が沸き起こる。
「殺、し……?」
殆ど吐息に近かった翔大の呟きに、少女の方が振り返った。
そして一瞬瞳に動揺の色を乗せ、男性の衣の袖をくいくいと引く。
「ンだよ。どうした、イオリ?」
かったるそうに拳銃をしまいながら、男性が振り返った。
イオリと呼ばれた少女は、翔大を真っ直ぐに指差す。
男性はイオリと同じ様に翔大を見るなり、目を見開いた。
が、直ぐにそれは細められ、
「…………」
つかつかと翔大に歩み寄ると、頭から爪先までをじーっと見つめる。
男性は翔大より頭一つ分程大きかったので、中々威圧感があった。
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