俺様男と鈍感女

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その時、公園の暗がりに歌音らしき声が聞こえた。 「ちょ……て……さい」 「……………だろ?」 だんだんと近付くにつれ、声の主が明らかになっていく。 「やめてくださいって先輩!」 その声は歌音で間違いなかった。嫌がって、怯えているように聞こえる。 「いいじゃん、恋人でしょ?俺ら」 「やだっ、やだぁっ」 俺はいてもたってもいられなくなって歌音の元へ走り出した。けど、少し遅かった。 歌音とあいつが重なってく。 「ちょ、ん…ふぁ…んん…」 俺の足が固まったように動かなくなった。 時々、あいつらの音と息遣いと、歌音の涙が見える。 羨ましいよりも怒りがはるかに上回っていた。 もう一度、力強く走り出す。 「…っ、かのんっ!!!」
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