俺様男と鈍感女

11/23
前へ
/69ページ
次へ
俺は思いきりあいつから歌音を奪い取った。そして、思いきり抱き締めた。 「おい、何すんだよ」 あいつの不機嫌そうな声が聞こえる。 「うるせぇな、歌音が嫌がってんのがわかんねーのか!これが目的かよ!ふざけんじゃねぇ!」 俺がどれだけ歌音を大事にしてきたか。 俺がどれだけ歌音を好きだったか。 お前らにはわかんねーよな。 挑発的な目で俺を見る。 俺が一歩前へ踏み出すと勢いよく殴りかかってきた。 ドサッ その反動で思いきり倒れる。情けねぇな、俺。 「さ、とる…さとるっ、大丈夫!?先輩もやめて…グスッ、さとるをっ殴らないでっ…ヒック、ヒック…」 歌音が泣いてる。さっきよりもはっきり。 俺のために泣いてくれてんのか? ははっ、ごめんな。 泣かせたくないのに。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加