テレフォンダイヤル

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ある日のこと 高校時代の友人美樹から久しぶりに電話があった。結婚するので招待したいと言う。 彼女は高校を卒業後、美容師を目指して上京していた。 あの頃は毎日のように遊び、一番仲良くしていた親友だった。 「おめでとうー!良かったね!」 言ってはみたものの 咄嗟に思ったことは やはり金だ。 お祝い金… それに着て行く服… 東京までの交通費… 正直、今のあたしにはありがた迷惑とさえ思うのだった。 「お金さえあれば…」 「お金さえあればきっと心から祝福出来た筈。」 これをきっかけに、しばらく遠避けていたテレフォンダイヤルのバイトをやることにした。 「よしっ!美樹のため!子供達のため!お金お金!稼がなきゃ!」 あたしは自分に言い聞かせるように気合いを入れた。
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