トイレの怪物

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便座に座り目がうつろ。明らかに先ほどまでの顔も顔色も違う誠が現れたのだ。 その前には使ったティッシュが丸めて幾つも散らかり、 何かが入ったビニール袋、それに何故かスプーンが転がっていた。 そして誠の右手には注射器が…。 それは今まで見たことのない怪物でも見たような強い衝撃だった。あたしは何が何だか分からず言葉を失った。 すると誠はこう言った。 「真由もやりなよ!嫌なこと忘れるから!それに合法だから心配ないよ!」 “逃げよう…” 咄嗟に思った。 あたしは恐怖心からトイレの扉を無言のまま閉めた。逃げなきゃ。 たった数時間前に知り合った男、携帯番号は知られてしまっているけれど、着信拒否してしまえば済むことだ。それで全てなかったことに… “でも逃げる前に捕まったら?” “薬漬けにされ拉致?売られる?殺される?” 一瞬にして色なことを考えた。
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