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【過去】狐の嫁入り
御門くんにずっと抱きしめられたまま、なかなか放してもらえない。
『御門くん…?』
「ごめんね…××ちゃん。ごめんね」
彼はずっと私に謝ってくる。
「もう、お家には帰れないし、お父さんやお母さんにも会えない」
『………ヒクッ…ふぇっ…嘘だっ!嘘だもん!嫌だ…嫌だよぅ』
いくら、私が泣きわめいても御門くんは放してくれない。
「ぼくの側にずっといてくれたら…いつか、お父さんやお母さんに会わしてあげるから我慢して…」
そっと耳打ちされた……。
神社より下の景色はもう真っ暗でいつの間にか夏祭りは終わっていた。
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