狼くん

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大神 海里 黒板に白いチョークで書かれた少し歪な文字。 男子、大神くんは私たちの方を見ながらヘニャッと気の抜けた笑みを浮かべた。 「はじめまして、大神 海里(おおがみ かいり)です」 茶色いフワフワの髪、髪の毛と同じ色の大きな目。筋肉質なわけじゃないけど、体つきはしっかりしていて背も高い。スポーツでもやってたのかな? 「趣味は身体を動かすことです。よろしくお願いします」 大神くんがペコリと頭を下げる。体の大きさに似合わず、全体的に動きが可愛らしい。何でだろう? 雰囲気? なんかに似てるんだよね? 考えながら大神くんを見つめるととカチリと合う視線。まさか合うと思っていなかった私はそのまま固まってしまう。 しばらくの間、お互いの目が合う。大神くんがヘニャリと柔らかく笑った。 それが私に向けてなのか他に向けてなのかは分からない。けど、一つ分かったことがある。 大神くんはゴールデンレトリバーに似てる。
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