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「…ここ…どこ…?あなた誰…?」
驚いているような顔で俺を見ている女。その目は、全て信じられないと訴えているようだ。
しかし…見ると本当に美人だな…黄色の瞳も、まるで満月だ。
だが何故片目だけ…両目もだったらもっと綺麗なのに…
「……あの…私の顔に何か付いて…?」
じーっと見つめていたらしく、女の声が聞こえて我に返った。
女に見とれるなんて初めてだ…なんか恥ずかしい事をしてしまった…
「いや、すまない。おま…君が倒れているのを見つけて、移動させてもらった」
お前と言いかけて、君と言い替えた。何故言い替えたのか、自分でもよく分からない。
女は静かに礼を言い、頭を下げた。その仕草がなんだか綺麗に見えて、また女に見とれた。
「君…名は?」
気づけばそう言って、女の返事を待っていた。
俺はどうしたんだ一体…
「………弥代月葉…です…」
月葉…ぴったりだな、その瞳と。綺麗な名だ。
「俺は斎藤一。新撰組の三番隊隊長だ」
「新撰組!?」
今まで静かだった女が急に大声を出して、肩が揺れる程驚いた。
そんな俺を見て慌てて謝る女に、可愛いと思ったのは、気のせいだろうか。
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