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新撰組…って歴史の話によく出てくる、あの?
でもそれって歴史って言うだけあって、かなり昔の話だよ?
私が生まれたのは平成、幕末じゃない。じゃあ今、私の目の前にいる人は新撰組な訳ない。
でも…辻褄が合うと言ったら合う。さっきの所もそのくらい昔の風景だったし…
でも、辻褄が合ったところで、なんで私はこんな所にいるの?
だって少し前まで空き地にいたのに…ていうか、こんな所に来れるなんてありえない。
私…夢でも見てるの?
「…おーい…?大丈夫…か?」
私をここに運んでくれたという斎藤さん?って人が私の顔を覗き込んだ。
……心配…してくれてるのかな…?
「大丈夫です、ありがとうございます」
本当はまだ頭が混乱していて、大丈夫ではないけど。でも、心配される事が嬉しかった。
今まで、この左目のせいで周りに人が寄りつかなかったから。
両親でさえ私に関心はなく、何があっても問題はないという思考の持ち主達だったから。
だから、心配してくれてるこの人に、素直に嬉しいと思った。
「君は異人か?見た事のない着物を着ているが…」
制服を見た斎藤さんが目を丸くして、私にそう聞いた。
……制服を見た事がない?こんなの、普通の格好だって誰でも分かる…
「いえ、日本人です。制服…知りませんか?」
知らないと首を横に振る斎藤さんも、昔の人のような和服姿。
……やっぱりここ、幕末なの…?
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