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「あ、そういえば校長」
完全に部屋を出る一歩手前、私は一つ聞いておきたくなって振り返った。
「校長は、若さとは一言で何だとお考えですか?」
その私の試すような問いに、校長は始めて見せる茶目っ気のある笑顔と共に、パーフェクトアンサーを返してくれた。
「若さとは、『振り向かない事』ですよ」
「…クスッ、失礼します」
今度カラオケにいく時はヒヅに串田ア○ラメドレーでも歌ってもらおうかな。そんな明るい気分のまま、私は盛り上がる校庭に向かって歩き出した。…そういえば、やっぱり皆風邪とか大丈夫かな。なんか悪性のウイルス性胃腸炎にかかって更新どころか中間テスト三教科受けられなかったどっかの誰かさんとかいるけど、ヒヅ達なら大丈夫だよね!
ーーーーーー
『UNKNOWN』
NODATA
NODATA
NODATA
起きたらソコは薄グラいヤみだッタ。クルシイ。アタまが痛い。手をあてテみると…
「…チ」
血。真っ赤なのかドス黒いのか分からない、血。それを見た瞬間、私の脳は覚醒し直した。
あれからどれだけ時間が立っている。あの小娘どもに出し抜かれ、背後に何かを感じた所で記憶を失った。
とにかく時計を見る。5時15分。巡回の警備員が来るより先にこの不始末を片付けてここを出なければ。私は急いで血を拭き取り、表に出た。その瞬間、表の眩しさに目を細めると同時にその違和感に気付く。
眩しい?外は雨の筈だぞ?
嫌な予感がした私は全力で窓に向かって走る。眼下には…
「そんな…馬鹿な」
既に整えられ、万全に近い状態に整備されたグランドが有った。
「…許せない」
貴様らに、私が味わえなかったそんな良い思いをさせてたまるか。明日、せいぜい楽しみにしておくが良い。その幸せ、ぶち壊してやる。
ーーーーーー
遂に迫り来る体育祭。
「ふぅ♪良い疲れだぜ!」
純粋に開催を喜ぶ者。
「はぁ…火塚君の晴れ姿」
下心を隠さない者。
「ふふ…火塚の勇姿はしっかり体育祭シーンに反映するからな」
下心を隠さない者。
「えへへ、ひーくんとは違うけど、応援しちゃうもんね!」
下心を隠さない者。
「か、カメラの準備…ば、バレないようによバレないように!」
下心を隠さない者。
「ふっふーん。ヒヅにお弁当作って家庭的に攻めちゃおう♪」
下心を隠さない者。
「…壊す」
衝動に駆られる者。
様々な…主に下心を乗せた想いは渦を巻き、ここにぶつかる。
体育祭、開幕。
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