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「なんでっ!なんでヒヅ兄は会う度会う度色んな女の子とイチャイチャしてんのよっ!」
「わ、悪かった!全く何が悪くて謝ってんのかは自分でもわかんないがとりあえず追撃だけはやめるんだ」
そこで急に雰囲気を変え、溜めを作って立ち上がる。
「この辺で、お遊びもやめておかないと…血を見ることになるぜ?」
「ち、ちょっとヒヅ!?喧嘩は…」
「ふぅん…言うじゃん。一体誰の血が流れるって言うのかしらね」
「俺のだ」
「あんたのかっ!」
ドガっ
「ここまでがてんぷれっ」
本日二度目のグラウンドダイブ(強制)。本当に。ほんっとに下が乾いてて良かった。
「そんなことより、開会式は何時から?」
「おい。我が姉よ。普段みたいに俺が大事なら『そんなこと』呼ばわりは無い筈だ」
「んー、九時からやから、後二十分くらいやな」
「おいコラ出番乞食。無視すんな。誰のおかげで登場出来て…おっと誰か来たようだ」
「…不憫ね」
俺が『シャカイノヤミ』に殺されかけているのを、さつきだけがちゃんと見届けてくれていた。俺のオアシスは二つになった。さつき、ありがとう。
…え?もう一つ?奏に決まってるだろう言わせんな恥ずかしい。
「それにどうせ私達は準備の進度を先生に伝えなきゃならないんだからここでみんなとはお別れよ」
先輩が時計を見ながら目で俺を示す。
「ハァハァ…俺もですか?」
「なんでそんなボロボロなのよ…うん。私とヒヅ」
「はぁ。分かりました。ほら姉さん、そういうわけだから離れてね」
「ぶーぶー」
ぶーぶー文句をたれる姉さんを引き離し、何だか納得のいかないまま、俺は先輩に続いて生徒が椅子を運び出す途中の校舎の中へ入った。
ーーーーーー
「先輩。これ本当に意味あるんですか?」
「うん?バレた?」
校舎に入り、少し進んだ所で確かめる。すると速攻で振り返り、ペロッと舌を出す先輩。可愛いなぁもう。
「だって、ここにくる途中で会ったじゃないですか。監督の先生。俺らが伝える必要無いですよ」
「ふふ。ヒヅには叶わないなぁ」
飛鳥先輩は言いつつポケットをゴソゴソ探し、
「そう、ヒヅを呼んだのはね…充電のため!」
「充電?」
「そう!ここに…ジャーン!可愛らしいシュシュがあります!」
「ありますね」
「そしてここに可愛らしい美少女がいます!」
「いますね」
「は、はぅ…て、照れるよヒヅ」
「自分が言ったんでしょ!?」
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