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『宣誓!』
叫ぶと同時に、各クラスの旗を持った旗手が中央に集まり、その旗(たましい)を掲げる。
『私達、選手一同は!この体育祭を開く際の関係者、並びに先生方。そして共に競技する仲間に感謝し!正々堂々最後まで諦めずに競技する事を誓います!平成**年、六月六日!選手代表、碓氷火塚!』
『ワァァァァ!!』
あちこちから盛大な拍手が生まれる。壇上の校長は優しい笑みを浮かべている。よし、成功だ。
『ありがとうございました。次に、生徒会長の言葉です』
そう自分で宣言して壇に上がる先輩。誰もがその姿に期待する。
『…私は、言いたい事はもう伝えてあると思います。だから多くは語りません』
『皆さん。一緒に…燃え尽きましょう』
『おぉぉぉ!!』
それ以上、言葉は必要無かった。大地を揺るがすような歓声。今、ここに光台高校は一つになった。
ーーーーーー
《第一競技:パン食い競争》
『さぁとうとう始まりました体育祭!第一競技は、パン食い競争だ!』
「…始まったなぁ」
放送部の上手い盛り上げでさらに沸くグラウンドを見ながら感慨深く呟く。
「…そうだね」
隣の奏と共に、競技を見つめる。パン食い競争に俺は出ないが、確か…
「ひーくーん!見てるー!?」
姉さんが出るんだった。その容姿で観客を沸かしているものの、その分反動は俺に来る。『あんな可愛い子と…』なんてさっきもすれ違いざまに言われた。ごめんなさい。姉弟です。
でも良いんだ。
「帆乃火姉さん!頑張れーーっ!」
今日だけは、全力で楽しんでやる。
パァン!!
そうこうしている間にレースがスタート。まずは一年生。あ、あの子可愛い。ちっさくてパンにピョンピョン飛んでる。いやぁ顔も可愛いし癒されるなぁ。
「…」
ギュゥゥ
「痛ててて!!奏さんギブギブ!!」
「…年下に色目使ってたでしょ」
な、何でばれた…なるべく意識しないように見てたはずなのに。奏の第六感は化け物か。
パァン!!
そしてレースは二年生に。知り合いのシュールな姿に思いっきり笑わしてもらった。
そして三年生。姉さんのレーンだ。
「パァン!パァン!」
「…なぜ芋女」
無駄に気合の入った姉さんは、スタートと共にパンに急襲。メロンパンをフライングキャッチで食い取ると、大差をつけて一位ゴール。同時に姉さんの大きなメロンパンも揺れて全男子歓喜だったが、俺は奏に瞬間的に目を突かれて何も見えなかった。
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