10:とある戦争(バトル)の大将旗(死亡フラグ)

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「…なんで来たのよ」 「うぉ…数倍不機嫌…い、いや体育委員から妹が暴れてるって報告があったから」 そう、自分が悪いんじゃないのに済まなそうな顔をするヒヅ兄。だから、そういう所が… 「ッ…お、お兄様?私達は別に…」 「あー。今回は争ってないのは確認したから。前みたいに止めに入らせんなよ?」 「わ、分かっておりますわ!あなたの意見など聞いてませんの!」 「はいはい」 こいつの高飛車琴線に触れちゃうのに。ばか。ニヤニヤと莉子の話を聞くヒヅ兄を睨み付けつつ、あの無効試合を思い出す。 ーーーーーー 『今度こそ、今度こそですわ!』 『…今度は何よ』 『ふふん。その名も《サボり勝負》ですわ』 『…また妙な試合を。ここんとこ一日一試合を超えて来るんだけど』 『あなたが敗北すればそれは無くなりますわ』 『それなら早く勝ってみせてよ』 『『…』』 『…ルールは』 『簡単ですわ。今日の五.六時間目、バレずに屋上でサボれた方の勝ちですわ』 『…はぁ。そんな事?』 『ふふん。お嬢様が授業をサボる。ROCKでしょう?』 『ぶらないでよニワカロッカー』 『誰がだりーなですか!』 『誰もそんな事言ってないわよ!…はぁ、まぁいいわ、勝負ね。その代わりあたしが勝ったら…』 『はいはい。いつもの“アレ”でしょう』 『…分かってるなら、いい』 そう。あの時はこんな勝負だった。 そして。 『おい!お前ら!』 『『…げ』』 たまたま教室を抜け出す時間が被ったあたし達は、お互い牽制し合いながら屋上へ向かっていた。その途中で、めんどくさい先生に見つかってしまったのだ。 『ふん…珍しい組合せだ。まったく弛んでるんじゃ…』 『ん?燐火?』 と、その時。これまた偶然教科(化学)のお手伝いで資料集をわんさか抱えたヒヅ兄が通りがかった。 『ん?おお碓氷か。お前の妹が何だか鬱憤溜まってるみたいでな』 『ははぁ。そうですか。お手数をおかけしました。後は俺に任せてください』 そう先生と話し合うと、ヒヅ兄はさっさと資料集を教室に運びに階段を下り、またすぐ上がってきた。 『担当の許可は得ました。こいつと話し合います』 『済まないな碓氷。お前になら任せられる』 先生から絶大な信頼を寄せられる生徒会役員の一人であるヒヅ兄を、その先生は疑う事無く信じその場を去った。まぁ、あたしの素行が普段は良いから大事にはならなかったというのもあるだろう。
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