3225人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーーーー
『…で?なんでこんな事したんだ二人とも。そっちは、えーっと』
ヒヅ兄に連れてこられた当初の目的地屋上。べ、別に強引だったからってドキドキはして無いわ。そう、これは階段をいきなり上がったから…その、えーと…動悸!そう動悸よ!なんか文句ある!?
『…白金莉子ですわ』
…ブスッと不機嫌そうに睨み付けながら答える白金。これだけでぶちのめしてやりたいが、お嬢様らしい、怒られた時の反応といえばそうかもしれない。
『そうか。それでだな燐火に莉子』
『私を知らない!?そしていきなり呼び捨てですの!?』
目を丸くする白金、ついでにあたし。
と、年下だからって別に名前でいきなり呼ばなくたって!
『それでだな、何をしていたのかと。燐火だって普段はサボるような奴じゃないじゃないか』
『無視ですの!?』
さっきから驚きっぱなしの白金。その意識し過ぎのお嬢様言葉にそろそろイライラしてきたと同時に、ヒヅ兄のマイペースに呑み込まれた事に同情する。諦めなさい、ヒヅ兄は納得するまで終わらせないわよ。
と、いう事で今回の趣旨、戦いの事から全て説明。その度にはぁ。と溜息を吐かれてしまった。うぅ、ごめんなさい。
『く、くだらねぇ…』
案の定完全に呆れた様子のヒヅ兄。だけど、フッと真面目な表情に切り替わる。雰囲気も変わり、不貞腐れていた白金ですら目を向けた。
『今回はこの程度で済んだが、こんな事ばっかりやって自分と相手の評価を落とすような事だけはやめろ。戦うななんて言わん。節度を守って正しく争え』
ヒヅ兄らしい正論。相手を完全否定しない上手いやり方。
『…私に怒るだなんて』
『んー?』
わなわな震える白金の様子に気付かないヒヅ兄。そして突然顔を上げ、
『あなた、名は?』
憎らしい笑顔で聞く。
『火塚。碓氷、火塚だ。』
『あぁ…あの有名な。そして碓氷さんの兄上』
そこまで呟くとバッと踵を返し、屋上を出る瞬間、
『ふふふ…今日のこの屈辱、忘れません。必ずあなたを跪かせてみせますわ!』
そう言い放ち奴は階下に消えて行き、その日は終了した。
そしてそれからというもの。
『碓氷火塚!話を…』
『ああ、悪い今先生に呼ばれてるんだ』
…
『碓氷火塚!今日こそは…』
『悪いっ!今緊急で!』
…
『碓氷ひ』
『おう莉子。またな』
…
『な、何で私がここまで気に掛けているというのに何の反応も示さないの!?』
最初のコメントを投稿しよう!