10:とある戦争(バトル)の大将旗(死亡フラグ)

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退かなきゃいけない。ここでこんな事してる場合じゃない。 だというのに、体は全く言う事を聞いてくれない。 スッーー 「ーーぁ」 ほぼ同時。お互いがお互いの頬に手を伸ばし、サッと指の腹で撫でる。ゾクゾクと、感じたことの無い快感が身体を巡る。 『お、おぉ…』 『あれはやべぇ…エロい…』 周りからの雑音も気にならない耽美な空間。 溺れてしまう。このままじゃ。 「ほの…か」 「違うでしょ?今は…」 「『お姉様』。よ」 口から出るのは発した事も無い言葉。そして二人が重なる… ーーーコツン 瞬間に、目の前を一つの小石が横切った。と、同時に急速に世界が現実を取り戻し、私達は正気に戻った。 「はっ!?何をしとったんやウチは!?まだ行けるで!」 「う、うん!まだ後ろは団子だし、あの濃かった時間が一瞬だったなんてっ!」 慌てて再び走り出す。私達の様子を固唾を飲んで見守っていた人々は、何故か溜息を漏らしたが、私はその中にスーッと消えて行くその二つの後ろ姿を見た。 (あれは……ひーくんと火織ちゃん) ひょっとすると、さっきの小石は二人が関係しているのかもしれない。そんな優しさをもつ二人に恥を欠かせないよう…… 「いちにっいちにっ!」 全力で、駆け抜ける。 ーーーーーー 「く~~っ!、悔しい!」 「……うん。悔しいね」 結果は、二位だった。最後に巻き返しはしたけれど、一位を倒れた時に巻き込めなかったのが響いてしまった。 「……くっ」 あっちゃんのいる二組は三位。頑張っただけあって向こうも悔しそうだ。 ……さて、これで一つ競技が終わったわけだけれど、ムカデリレーが残してくれたものはクラスの団結と… 「……」チラッ 「……!」プイッ 何とも言えない、背徳感だけだった。……私は、断じて百合ではないよ? ーーーーーー 《第四競技:玉入れ》 『クソッ!味方がやられた!』 みなさんこんにちは。お久しぶりです。新垣奏です。 『馬鹿野郎!これは仲間の籠だろう!』 今日、私達は絶好の体育祭日和だと言う事で、体育祭を、楽しんでいます。 『お、女の子なんだから言葉遣いを…』 ただいまの競技は、玉を相手の籠に入れるというシンプルな玉入れです。 『チィ!新兵が前線に出るなとあれ程!』 それが。 「どうしてこうなったのかなぁ……」
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