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話は十分程前に遡る。
『はぁ!?基本女子限定!?』
そんな言葉が本部から聞こえて来たのは、もう玉入れの招集がほぼ完了しかけた時だった。
「…どういう事ですか?」
私は近くにいた体育祭委員の人に尋ねた。
『なんでも、玉入れに男がいても華が無いからとかの謎の理由で、今本部で揉めてるらしいわよ』
「そ、そうなんですか。ありがとうございます」
本部。という事は…
「会長…火塚君も悪ノリしちゃダメだよ…」
私は知人の横暴とも言える行動に溜息をつきながら、入場した。幸い大きな問題にならず、どのクラスも女子を選出してきちんと試合に挑むようだ。
「奏!頑張ろうね!」
「琴。期待してるよ!…あとなんでかはよくわかん無いけど久しぶり!」
「あはは。もーなに言ってんのよ」
「始まるわよ?二人とも」
「「!!」」
そんなグダグダな空気を払拭したのはさつきだった。
「さつき…?」
「…見てみなさい。敵の顔を」
言われた通り辺りを見渡すと、皆一様に戦士の顔をしていた。どうやら浮かれていたのは本当に私達だけだったらしい。
「ど、どうなってるのこれ!?」
「え?…あぁ、琴と奏は聞いてなかったのね」
「?」
聞いてない?何を?
「玉入れが急遽基本女子限定になったのは知ってるわよね。それで、変更理由が酷いだけに景品として学食のスイーツ二ヶ月分と引き換えのチケットが各学年毎の一位クラスに支給されるそうよ」
「…それは凄いね」
琴が目を輝かせながら武者震い。
「なるほどね。だから皆必死に…」
真の理由は単に華が有るか無いかなのに。汚い流石生徒会汚い。
(でも…)
貰えるなら、貰いたい。私、この試合が終わったら火塚君とジャンボラブラブパフェ(人気学食スイーツメニュー。カップルのみオーダー可能。1500円)を二人で食べるんだ…!
「やっすい死亡フラグね…」
呆れた顔のさつきを尻目に、
《始めっ!》
競技はスタートした。
私達は二組と書かれた籠に玉を投げ入れる。そこはまさに阿鼻叫喚。地獄絵図。
『誰よ引っ掻いたの!』
『あん!誰よセクハラ!』
そして壊れ始める面々。
『スモーク投げるわ!』
『こっちはコンカッション!』
「落ち着いて!ただの柔らかい玉だよ!」
『新兵!フラグを投げろ!』
「誰!?フラグってなに!?グレネード!?」
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