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「で?どうする?大人でも楽しめるらしいから。ま、俺はどんな障害物とかは見てないからなんとも言えないけど」
よく考えろ碓氷火織。この選択が後に火塚攻略に関わってくるに違いない!
「ふん。それなりに動きやすい格好で良かった。私だってまだ動けるということを証明してやろうじゃないか」
「オッケー。火織姉ならそういうと思ってたよ」
にっこり笑う火塚。こ、これは好感度上がった気がする!という訳でキスしてもいいですか!?ダメですねごめんなさい!
「じゃあ本部行こうか」
「うん」
従順に火塚の後をついて体育祭役員本部に。中では慌ただしく動く役員が。その中の一人、私達に気付いた役員が近付いて来た。む、この子は…見たことあるな。
「こんにちは、お義姉さん。ご無沙汰しております」
しゃなりと音がなりそうなほど決まっている挨拶を決める黒髪美人、そう、たしか田村さつきと言ったな。
「義姉さんと呼ぶな。弟はやらんぞ。…で、火塚」
「オッケー」
私の声に応えて前に出る火塚。それで察したらしい田村さんは、エントリーシートを持ってきた。就職はしてるからってそのエントリーシートじゃないだろう!
「えーっと…お義姉さん大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。ほっといて。んじゃこれで」
「はっ!?私は何を!?」
勝手に一人でトリップして勝手に一人で帰ってきた。火塚が残念な目で私を見る。やめろ濡れる。
「とりあえず、エントリーしといたから。頑張ってね」
「おう。一緒に一位だな!」
「は?」
「え?」
「「……」」
「私、走る」
「あなた、走る」
「あなた、走る」
「俺、走らない」
「「……ん?」」
「なんで!?火塚お前走らないの!?」
「声でかっ!ってか逆にいつ俺が走るって言ったよ!」
そんなもの…
「…言って、無いなぁ」
がっくりとうなだれる。
「嗚呼、姉弟仲睦まじくイチャイチャ罠に掛かろうと思ってたのに」
「うっ…」
私のいじいじオーラに当てられてバツの悪そうな顔をする火塚。ちょっと可愛い。
「じゃ、じゃあ応援するから!精一杯!な!」
もともとそこまで気にしていなかったのに、気を遣わせてしまったみたいだ。だが、私は欲張りなのでな、貰えるものは貰っておく。
「よし。本気でだぞ?」
言質をとり、招集場所へ向かう。俄然、燃えて来た!
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