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花形のウェイターとウェイトレスに人気が集中する事が予想されたが他の生徒は決まった5人に拍手するだけで立候補はしなかった。
彩愛はこの事がわかって居たかのように端から順番に名前を書いて担当を決めた。
(なんだか変な会議だね……ん?)
「実相寺さん24名しか名前ないけど?」
「えっ誰か名前ないですか?」
一番後ろの席に座るもの凄く存在感のない久住 千尋(くずみ ちひろ)が小さく手を上げた。
「ほら~みんな書いてありますよぉ」
彩愛は明らかに千尋を見ていたが見えて居ないように言った。
「ちょっ何言ってんの?
久住さんが手を上げてるじゃない!」
真櫻が慌てて立ち上がると彩愛はワザとらしく目をこすった。
「見えなかったわ。
でも、担当がないから……」
そう言うと黒板に向かって何かを書き始めた。
『後片付け……クズ』
「クズって?」
「久住さんのニックネームです」
真櫻は半笑いで答えた彩愛の態度が許せなかった。
「ちょっ……」
「久住、ちゃんと言いなさい。
お前はいつもクラスの輪を乱す、いいかげんわかりなさい……クズが」
『キーンコーンカーンコーン……』
後半はチャイムとかぶったが真櫻は聞き逃さなかった。
「では文化祭の会議は終わります」
真櫻は教室を出た蔵本を追いかけ問い詰めた。
「先生!チャイムの音に紛れて何を言うんですか!
それに久住さんは輪を乱してなんていません!」
「何を興奮してるんですか?
私は何も言いませんよ?久住は内気過ぎてクラスで浮いてるんです。
ぺーぺーが知ったような口を利くな!」
蔵本は吐き捨てるように言うとサッサと職員室に戻って行った。
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