俺と魔王と入学式

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HRが始まり担任(因みに名前は向河原倖(むかいがわら さち)で副担が向河原千里(ちり)、倖さんは着物が似合いそうな黒髪美人、千里さんは菊人形みたいなこれまた黒髪美人で男子にとっては夢のような担任だろう)が軽く自己紹介したところで教室のドアがノックされる 「お、来たみたいだな 皆クラスは変わらないから自己紹介はいらないな?  ここでおまえ等に重大な報告がある、落ち着いて聞いてくれ」 そういうとそれまで笑顔だった倖先生が神妙な顔で話を切り出した 「この島では憑き物、まぁ私で言えば千里みたいな奴らが産まれた時からいるよな? そんな私達を日本政府は援助すると同時に島から出ないように監視してきた しかしだ、この島のお偉いさん方が日本政府に島の外にも出れるよう交渉してるんだな 今まで…まぁ大昔の事は分からんが記録上そんな事があった試しがない そこでだ、本島から…その、なんだ 何人か…いや、100人程…この島で生活する事になった…」 クラスがざわつく まぁ当たり前か 「まぁ落ち着け そいつらは私達の事情も知っているから正体を隠す必要はない …が、その100人程の一般人に何かあったらその話もおじゃんだ」 ふむ、島の外に出れるのか しかし "何か"が起こればそれも無し めんどくさがりな俺でも島の外には出てみたい 何も起きない事を祈るだけだ 「っと、あまり待たせるのも失礼だな そろそろ入ってもらおうか 転校生…といっても入学式だから新入生になるか まぁ細かいこたぁ無視して新しい仲間だ、紹介しよう 待たせてすまない、入ってくれ」 倖先生が先程ノックされたドアに向かって呼びかける が、そのドアが開かれる気配がない 教室にいる全員がはてなマークを浮かべている 「倖の話が長くて帰っちゃたかもね」 「ち、千里が言った通り喋ったぞ!?」 「私のせいにするの? 酷い話ね、あなたが『この事どう説明したらいいのー!?』って泣きながら私にすがりついて来たのに?」 「ちょっ、ちょっと千里!?」 あ、この先生あれだ …云わないでおこう 「…倖、窓の外」 「はぐらかそうったってそうはいかないんだからな!?」 「いや、だから窓の外に…」 「窓の外に何が…」 教室全員が窓の外を見て驚愕する 転校生と思しき人達が宙に浮いているのだ この学校にベランダはない おそらく連れて来た先生の憑き物の仕業だろう 「あの馬鹿…」 倖先生が呆れてこめかみを押さえそう呟いた
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