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次に目を覚ました時、また同じ白い天井が目に映る。
横を見るとまた開け放たれた窓。
夢?そ…うだよな…。あんなの突然過ぎる…。
「お目覚めになりましたか?」
この声は………姫様?
デジャヴのような感覚。
また目を覚ましたら姫様が居る。
もうさっきみたいな思いはごめんだ…。
「あなたが倒れたと聞いて来ました。
遅かれ早かれ分かる事だったとは言え私の口から先に言うべきでした…。
申し訳ありません…。」
待て…待てよ…なんの話をしているんだ……。
「一体なんの話ですか…?オレにはなんの事か分かりません。
悪い夢を見た後なので気分が悪いんですが。」
オレがそう言うと一瞬だけ二人の会話に沈黙が流れる。
あれは夢なんだと教えてくれ…。
なんでもないんだと言ってくれ!
「……。その夢は夢ではありません。現実を認めたくない気持ちは分かります…。
気をしっかり持って下さい…。
妹様はもう目覚める可能性が限りなく…「それ以上言うなぁあ!」」
姫様はオレの荒げた声に動じる様子はなかった。
ただ冷静にオレを見ている。
「認めない……。絶対に…。」
もうカレンの喜ぶ顔を見る事もはしゃいでる姿を見る事も…。
そんなのは絶対に嫌だ!
「あなたは…確かに妹様の事は辛いでしょう。
しかし、あなたは戦士です。戦士として生きていく限りその覚悟は必要ですよ。
死んだわけではないのです。
ダマスカス国内には妹様以外にも同じ様に健康状態で目を覚まさない方が幾人もいます。
彼等も生命維持装置がなければ生きながらえる事ができません。
辛い思いをしているのはあなただけではないのです。
それだけは心に留めておいて下さい。」
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