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「子供の時、遠足に行く前の日は眠れなかったでしょ?
それと一緒で明日すっごーく楽しみにしていた物が買えるから柄にもなくはしゃいじゃって。」
へー、まさかSecond Worldじゃないよなぁ?
やっぱ女性だし服とかブランド物とかかな?
でも、眠れないくらい興奮するものなんて限られてるよな?
「実はオレも明日すっごーく楽しみにしてた物が買えるから夜興奮しちゃって、眠れなかったんですよ。」
とおどけたように言うオレに対して彼女がフフッと笑ったのが分かった。
「また一緒だ。偶然って凄いですね。」
彼女が応えると風が強くなり。
服が風でなびき、彼女の長くもなくそれでいて短くもない髪が風に流される。
「風、強くなりましたね。」
彼女は言いながら流された髪を耳にかける。
その洗練されたかのような綺麗な一連の動作を見ながら、彼女がとても神秘的に見えて自分の胸が高鳴った気がした…。
「隣いいですか?」
彼女の言葉に一瞬驚いたが公園の中にあるベンチは三つ、それぞれ遠い位置にあるから仕方ないのかもと思いつつ、ここまで話て断る理由もない。
「どうぞ。」
それを聞いた彼女は微笑しながら失礼しますと一言言って隣に座った。
その後特に会話は無く、しばらくお互いが沈黙し彼女を横目でチラッと確認しただけだが、夜の風景を楽しんでいたように見えた。
横から見てもかなり綺麗な人だなぁと思う。
少しすると彼女がこちらを見て微笑む顔が見え
「私そろそろ帰りますね。」
それを聞いたオレは初対面で言おうか言うまいか迷ったが、やっぱり男としては言うべきだろうと思い言葉を紡ぐべく口を開く。
「送って行きましょうか?」
「フフッ優しいんですね。
私は家がすぐそこなんで大丈夫ですよ!」
「ならオレも帰るから公園出るとこまで送りますよ。」
「ありがとうございます。」
と言いながら彼女はニッコリとした笑顔を見せる。
オレがベンチを立つと、彼女もベンチを立ちそれを確認したオレは彼女と一緒に公園の出口まで向かう。
特に会話は無く、公園の出口まで来ると彼女が口を開いた。
「今日はありがとうございました。話せてよかったです。」
「オレも話せてよかったです。」
すると彼女もニッコリとした表情を見せた。
「それでは。」
そう言い残し夜の道に姿を消す。
オレは、2本目になるタバコの煙をその路地へと吹きかける。
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