1章

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全然似てない……そんなの知ってる。 明るく社交的で誰にでも愛されるかわいい姉と、友達もろくにおらず本ばかり読んでいる暗い私。 言われ慣れたセリフだけど、なぜかこの男に言われると無性に腹が立った。 「ごゆっくり」 私はにこりともせず、それだけを言って自分の部屋に逃げ込む。 ごめんね、というお姉ちゃんの言葉が後ろで聞こえて、ますますイライラした。 新刊を買ってうきうきしてた気持ちを返してよ。 リビングから聞こえる笑い声は車のクラクションなんかよりずっと不愉快だった。
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