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そう決意して、早速逃げ出そうとしたのですが――
「分かった。連れ込んでも、連れ込まれたわけでもないんだな?だったら、ちょうどいい。お前が俺に奉仕しろ」
肩を掴まれてしまいました。
手を振り払う間もなく、そのまま引っ張られて振り向かされます(失礼な人ですね)。
伊賀先生は思ったよりも近くにいたらしく、まず見えたのは上半身に羽織られただけのシャツ。
そこから覗く肌には、紅く鬱血したキスマークらしき跡。
流石に下は履いていますが、情事後の雰囲気を充分に漂わせています。
色々な事に衝撃を受けて固まっていると、頭上から声が降ってきました。
「おい、此方を向け」
不躾な声と同時に、顔に伸びてくる手。
ハッと我に返って咄嗟に後ろへ退きましたが、手が眼鏡に引っ掛かり眼鏡が引っ張られました。
あ、と思った時にはするりと眼鏡が取れた所で――
カシャン
「あ――…」
眼鏡が落ちた音に、思わず声が漏れました。
度は入っていませんが、夢人から貰ったものです。
壊れてはいないかと心配しましたが、幸い大した傷もなく無事のよう。
ホッと息を吐き出したところで、ふと思い出しました。
そういえば、夢人に
“絶対に眼鏡を外したらダメだ!!”
と言われていましたね……
まぁ、外れたものはどうしようもありません。
今からできることは、眼鏡を拾ってかけ直すくらい。
だから、素早く眼鏡を拾ってかけ直しました。
伊賀先生には見られてしまいましたが、副会長には見られていませんので良しとしましょう。
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