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さて―…
これは、どうすればいいのでしょうか?
伊賀先生が固まったまま動きません。
それなりにカッコイイはずなのに、ぽかーんと口を開けているせいで間抜けな顔になっています。
思わず笑うと、先生の顔が見ていて分かるほどに真っ赤に染まりました。
あぁ、怒らせてしまいました?
どうも私は人を怒らせるのが得意なようです。いけませんね。
しばらく真っ赤な顔をしていた先生でしたが、今度は何かをブツブツと呟いています。
「ブツブツ……おかしい、こんな美人な奴人気投票の時は居なかったはず。ブツブツ……ブツ…居たら俺が気づかないはずがねぇ」
小さくてほとんど聞き取れません。
ただ、『人気投票』と『居なかった』の部分だけは何とか聞き取れました。
サボったとか、そういう事を言うつもりなのでしょうか?
それでしたら、言われる前に先手を打ちましょう。
「言っておきますが、サボりではありませんよ。理事長に――頼まれごとをされましたので、それを片づけていただけです」
正確には、郁斗さんに
“人気投票には出席したことにしておくから、絶対に人気投票は欠席してね”
と言われ、することがなかったので、郁斗さんの仕事を手伝った。ですがね。
郁斗さんの尊厳に関わる気がするので、無難な答えで済ましておきました。
理事長と知り合いなのか?と聞かれれば、答えに困りますが……
伊賀先生なら大丈夫でしょう。
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