我儘(ワガママ)

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「もう寝るわ。東雲!いないの?!」 「お呼びでしょうか、お嬢様。」 黒い燕尾服に身を包んだ東雲が私に恭しく頭を下げる。 「私は寝ます。用意をしなさい?」 「かしこまりました。 奥様、失礼いたします」 「え、ええ…」 いきなり怒りだした私に驚いたのだろうか、母は困惑した顔を私に向けてくる しかし、優しく返事を返す余裕など私にはない。 ふい、と顔を背け早足で部屋を出る。 細かな装飾が施されたドアノブに手をかけ、今の今まで忘れてたような振りをし母へと顔を向ける。 「そういえば、私――――」
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