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二年前、春――――――――――
早朝
快晴の中、雀がその可愛らしい鳴き声を響かせている。
つい一月前に春一番が吹き、今ではすっかり春の様相を呈している。
「やっぱり、春はいいな」
「新島智輝さーん、聞いてますかー?」
「あ、悪い悪い。もう1回言って?」
俺の名前は新島智輝。
この春から県立百葉高校に入学する1年生だ。
「まったく、智輝から聞いてきたくせに」
「ごめんって。んで、百葉高校のテニス部はどうなんだっけ?」
今、俺と話しているのは、滝口龍之介。
龍之介とは小学校、中学校共にずっと同じクラスで、俺が通ってるテニスクラブも一緒の親友だ。
「百葉ねえ結構強いよ。団体では県大会ベスト8止まりなものの、個人戦では今部長をやってる高橋って人がインターハイと全日本ジュニアどっちもベスト4」
「あー雑誌でそんな感じの名前見たような気がするな」
「うん、俺もそう思って調べたんだ」
「ってか、どうやって調べたんだよ?」
「え、兄貴情報だけど」
「あ、そういえば龍之介の兄ちゃんもこの学校だったっけ?」
「そう、今年3年で、一応テニス部副部長」
「まじかよ…。」
この後も他愛のない会話をしながら学校に向かっていると、同じ制服を着た人をちらほらと見つけられるようになった。
あのダボダボ感からすると、俺達と同じく今年から入学する1年生なのだろう。
もうしばらくすると、これから3年間お世話になる県立百葉高校が見えてきた。
「あそこだな」
「うん、そうっぽいね」
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