均衡

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卒業後の進路がなくなったわたしは、担任の言葉を思い出した。 前の進路相談で「結婚します」と言い切ったわたしに担任が言った言葉。 「本当にその彼氏でいいの? もっと相応しい人にこれから出会うかもしれないのに。 医者になるために医学部に進学しなくてもいい。医者と結婚するために医学部に行けばいいのよ。」 担任のことは嫌いなほうだった。苦手なタイプの女だった。 なのにこの言葉だけは響いた。 なんていうか、正直感動した。 でも悔しいから無視した。 そのときは無視できたけれど、いま思い出した事実がある。 わたしは考えた。 別に医者となんか結婚したくない。というより職業なんてどうでもいい。 どんなひとと結婚したいか。 わたしが進学先を決めたのはそんな理由。
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