均衡

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いつか子供を産んで、その子が鉛筆を握れるようになったら、スケッチに行こう。 野原でも海でも、そこらの街角でも良い。 スケッチブックと色鉛筆セットを持って、お弁当とかおやつも持って、暗くなるまでお絵描きをしよう。 そのとき一緒にいてくれるひとがいい。 子供を真ん中にはさんで、一緒に絵を描いてくれる。 結婚するならそんなひと。 絵の学校に行こう。 動機は何にせよ、母親はわたしの進学したいという意志を聞いて喜んでくれた。 あんな男と別れてくれて、やっとまともになったと。 『あんな男』 別に悪いことをする人じゃなかった。 ただ確かに、高校生の娘が六歳上の男と結婚すると言って進学も就職も希望していなかったら、案ずるのは仕方ない。 ただあの人と別れて正解と思っていたのは、わたしも同じだった。 彼は一緒に野原でお絵描きなんて、してくれなかっただろうから。
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