均衡

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放課後いっしょにお茶したり、いっしょにお洋服を買いに行ったり、お泊まり会をしたりする友達はいた。 でもただそれだけ。 みんなはお勉強を頑張って、かっこいい男の子や芸能人の話をして、流行りの色々を追いかけた。 そういうものに、わたしは徐々について行けなくなった。 わたしが求めたのはもっと違うもの。 それはロックであったり、哲学であったり、寺山修司であったりしたのだけど、理解者はいなかった。 みんなは悪くない。 わたしも悪くない。 諦めた。 ただ、好きなものを共有できる人がいないことは寂しいこと。 小さな絶望が自分の中で勝手に大きくなって、気が付いたら周りの全てがどうでもよくなった。 昼頃学校に行って、家に帰るか彼氏の家に行くか。 赤点さえ取らなければいい。 一日中誰とも話さなくてもいい。 ほんとはそんなの良くないって知ってたのに。
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