均衡

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そんな高校生活の終わり。 卒業式は何事もなく、涙もなく。 こんなわたしをなぜか慕ってくれていた後輩数人がプレゼントをくれた。 泣いてる子もいた。 こういう子がうらやましい。 反面で鬱陶しい。 めちゃくちゃだ。 たくさん人がいて、たくさんの感情がある。 そういう場所は嫌いじゃない。 仲の良い人にもそうじゃない人にも“最後だから”いつもとは少し違った感情を抱く。 卒業式は平等だ。 ギャルちゃんにも無口なメガネにもわたしにも、卒業式は平等にある。 おもしろくない三年間だったけど、最後は綺麗だった。 まっさらになる。 考えるのは次のこと。 いよいよ控えてる次の生活のこと。 大切な思い出が無くてよかった。新しいことをはじめるのに、下手な過去は要らない。
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