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俺は今、村の八百屋に来ているのだが
「ひ、ひぃぃ。い、命だけは勘弁を」
という状況だ。
どうやらこの店主はあの現場に偶々居合わせていたらしい。
「えっと、コレを」
下さいと言おうとすると
「ひぃぃ」
という無限ループを繰り返しているのだ。
この店に来る前にもいくつか店に寄ったのだが、どこの店も今のような態度だった。
どうやらルルの情報は凄まじい速さで村に広まっているらしい。
「はあ……」
一時間以上かけて収穫出来たのはパン四個、乾肉二枚、少量の飲み水のみだ。これで七日間過ごすのは少し、いやかなり厳しいかもな。
仕方ない。道中で食料を調達するか。
「ルル、そろそろ村を出るぞ」
と言うと
「まだコレ、買ってないわ」
と赤か青かはっきりしない色をした果実を俺に見せる。
「オッサン、コレいくら?」
俺が爽やかな笑顔で言うと「だ、代金はいりませんっ」と何故か急激に顔を先程よりも青くし、必死にそう言った。隣で「脅迫ね」とか聞こえたが気にしない。
店主の粋な計らいによって(ここ重要)手に入れた果実をルルに渡し店から去り、村の門まで向かう。
人で混雑している所も俺たちが通ろうとすると綺麗に人がいなくなりスッキリとした道になる。何ぞこれ。
で、暫く歩き門まで着いた。
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