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門を通り村を出て、それから南東の方角に向かって歩くこと約二時間。俺たちは湖の近くにいた。
「湖だ」
と、只の事実を言葉にし、湖から五〇メートル離れた所に立つ。
「この湖はエフェド湖よ」
「へぇ~、綺麗だな」
「それは表面上だけ。湖の中にはラーゴワームという魔物が沢山いる。無闇に湖に近づくと食べられるわ」
ラーゴワームっていうのは体長は三メートルから大きくて十メートルにまで成長する芋虫みたいな魔物だ。
ルルがいうにはそれがあんなに綺麗な湖の中にうじゃうじゃいるんだとさ。想像しただけで吐き気がするよ。
「まあ、あれだろ?あまり近寄らなければいいんだろ?」
「そうね」
ラーゴワームくらい目を瞑りながらでも余裕で倒せっけどさ、ラーゴワームって最期事切れる前に耳に障る悲鳴をあげてさ、口から盛大に体液を噴き出すんだよな。しかもそれが臭いし、汚いし、粘りけが強いしもう最悪。殺らずにすむならそれにこしたことはない。
そう思って湖から離れようとしたその時「ピィギャァァァァァ」という鳴き声と共にラーゴワームが十数匹現れた。
だが、俺たちの目の前にではない。
ここからおよそ二〇〇メートル程離れた湖の直ぐ側で、呑気に昼をとっていたいかにも貴族です、といった格好をしているやつらの所にだ。
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