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「キャーーー!!」
と十五、六くらいの少女が悲鳴をあげ、その親と考えられる男と女がその少女を魔物から庇うように抱き締める。
その脇からは鎧と大剣を背に下げた男が魔物に向かい走り出す。恐らく、雇われた傭兵だろう。
その傭兵は背に下げていた大剣を引き抜き、跳躍し、一番近くにいたラーゴワームに向かって上から思い切り降ろす。
するとそのラーゴワームはやはり耳に障る悲鳴をあげ体液をぶちまける。
どうやらあの傭兵はラーゴワームの生態を知らなかったらしく、急に吐き出された体液を避けられず、まんま食らった。あ~あ、可哀想に。
体液を食らって怯んだところに、さらに残りが突っ込んでいく。
一匹、二匹目と最初は避けきれていたが、九匹目の時に、足下の体液を踏み、転び、突進を食らってしまう。
突進を食らい、傭兵はノックアウト。ずるずる引きずられて湖の中に六匹のラーゴワームと共に消えていった。
そして残りの六匹が貴族(推定)ファミリーの方に向かっていく。
「どうする?助ける?」
と、ルルが聞いてきたので
「え、スルーの方向で」
と返す。助ける?嫌だよ面倒臭い。
「でも、助けたらあそこにある馬車に乗せて貰えるかもしれない」
湖から少し離れた位置に停められているそこそこ豪華な馬車を指差し言う。
この時、俺の頭のなかで、助ける>七日間歩き続ける、の方程式が出来上がった。
「仕方ない。魔法でさっさと終わらせてくるわ」
ルルにはここで待機と言い付けてラーゴワーム共の方へ駆け出した。
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