ヒカリの中で

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『いらっしゃい、お嬢ちゃん。好きなの取ってね~。』 麦わら帽子を被った、色黒の叔父さん。 (うわぁ、家の中にいる時の、パパみたいな格好だなぁ~) 『あらあら、可愛いお嬢ちゃんねぇ。疎開してきたのかい?』 叔父さんの後ろにいた叔母さんが私に振り向いて、首にかけているタオルで額の汗を拭きながら、ニコニコ笑っている。 (…そ・か・い…!?) 何を言われているのかわからないまま、水の中に手を入れ、大好きな桃のジュースを手に取り、叔父さんに渡した。 『はい、60円ね。』 私は値段に違和感を感じたが、パンダのポシェットから10円玉を6枚出して、叔父さんに渡した。 叔父さんは相変わらずニコニコしながら、私にジュースを手渡してくれた。 『はい、ありがとう~。今日も暑くなるね~。』 『バイバイ』 私は頑張ってニコニコしながら、叔父さんたちに手を振った。
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