第零話「僕の日常ときっかけ」

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「今日は、このくらいにしておこう」 両手で抱えた、花の苗が入ったダンボールをゆっくりと地面に置いて背伸びする。 僕の名前は譲花 有日(ユズリハナ ユウヒ)。歳は今年でたしか……17歳だったかな。あんまり気にしてないから覚えてない。 僕の両親は、僕が6歳の時に海外で爆破テロに巻き込まれ、他界した。 両親に兄弟は居なく、近い身寄りの無かった僕は親戚をたらい回しにされた挙げ句、施設へ入れられた。それに対して、僕は恨んでいない。むしろ捨てられて死ぬより全然マシだから。 施設からの資金で学校には通えた。高校だって、頑張って勉強して、花屋のバイトも始めて、施設の方々からお金借りて入学できた。施設の方々には心から感謝している。 施設の暮らしはほとんど不自由だと感じなかった。 友達は沢山居るし、あったかいご飯も食べれて、温かい風呂にも入れて、ふかふかの布団で寝れた。 「お先に失礼しますね」 職場の先輩にそう挨拶し、事務所に行く。男性用更衣室に入ってすぐに仕事の制服から私服に着替える。そして逃げるように花屋を後にする。 別に職場が嫌いな訳じゃない。家に帰って色々やらなきゃいけない事が沢山有るだけ。家と言っても、僕がお世話になっていた施設が保有する、小さなアパートだ。 ちなみに、やらなきゃいけない事とは造花の内職だ。以前からやってみたかったので、最近始めてみた。安い給料だが、中々面白い事に気付いた。  
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