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薄暗い道を歩き続けて約10分。家の近くの曲がり角に差し掛かった時だった。
「……誰か、居る……?」
月明かりが淡く照らす道、その先に人影が見えた。夜なのに傘を広げて居たようにも見えた。
目を擦りもう一度見ようとすると、人影は僕の家の方向へと曲がり角を曲がって行ってしまった。
「あ、待って……!」
その姿を見て、僕は不思議と走り出し、追い掛けた。何故かはわからないけど、見間違いかもしれないその姿を追い掛けた。
そして曲がり角を家の方向――右へと曲がった瞬間だった。
「……ぇ……?」
目の前に広がるのは、幾つもの『目』
正確には暗闇の空間に大小数え切れない、沢山の『目』が僕を見詰めて居た。
僕はそれを必然的に見てしまった。
恐怖で動けない……何もできない。
「…………」
『目』と暗闇の空間の向こう側に、僕はもう一度人影を見た。
傘を広げた、女性に見えるその人影を―――
その光景を最後に、僕は気を失った。
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