劣等感と優越感

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「由香里ごめん。彼氏が食べる物ないから早く帰って来てって言うからもう行くね」 「えっ?」 戸惑いの表情を浮かべる由香里をよそに、私は優越感に浸りながらその場を後にした。 やっぱり私は、他人にどう思われようと平凡な今が幸せだと思う。 人にはそれぞれ幸せの形があるんだから、由香里の言葉に左右されず自分の信じた今を大切にしようって改めて思った。 ふと、携帯を取り出しアルバムを開くと、同棲し始めの頃に撮ったプリクラの写メを呼び出す。 まだ幼さ残る二人の周りにはたくさんのハートマークがあって、将紀が書いたちょっと下手くそな「大好き」の文字。 その真ん中で満面の笑みを浮かべる私と将紀を微笑みながら指でなぞった。
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