最後の願い

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「将紀のバカッ!!」 「…………」 「あんたなんか大っキライ!!」 「あぁ…分かってる」 「本当に大っキライなんだからねっ!!」 泣きながら子供のように将紀の胸を叩くと、将紀は抱きしめていた腕を緩め私の体を引き離した。 真っ直ぐ私の顔を覗き込む真剣なまなざしに、また胸がギューッ痛くなる。 「キライでもいい。それでも俺は大好きだから」 「…………」 「また、茜に好きになってもらえるように努力するから。それまで、俺の片思いでも構わない。俺はずっとずっと……大好きだから」 そんな事を言われたら、もう何も言えない。 切なくて切なくて、胸ははち切れそうに痛いのに、嬉しくて幸せで涙が止まらない。 大好きで……大好きで…… やっぱり私は将紀の事が大好き。だけど、今は悔しいから大好きなんて言ってやんない。 「次浮気したら絶対許さないからね!」 涙を拭い迫力のない声で精一杯睨み付けると、将紀は一瞬でまた真面目な顔に戻りギュッと強く抱き寄しめてくれた。
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