初めてのデート、最後のデート

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「もぉ、どうせしてくれるならもっと早くしてくれれば良かったのにぃ。絶対順番待ちの人達に見られちゃったじゃん!」 観覧車から降り将紀の腕をブンブン振りながら文句を言うけど、言葉の割に気持ちはハッピーでニヤけた顔をどうしても隠しきれない。 そんな私に気付いてるのか気付いてないのか、将紀は何も言わずいつもより優しく手を握ぎりながら歩いてくれた。 車に乗り込むと辺りはすっかり暗くなっていて、余計どっと疲れたように思う。 「外食して帰ろう」なんて話しながら車を走らせると、将紀の携帯が鳴った。 「あ、三木だ。俺運転中だから茜出てちょうだい。」 「あ、うん。」 携帯を差し出されると、シートに身を沈めながら通話ボタンを押した。 「もしもし三木君?」 「あれ?茜?」 「うん、将紀今運転中だから。どうかした?」 将紀の親友の三木君は、私達と同じ高校の同級生で今でも良く一緒に連む仲。 「来月の20日にさぁ、同窓会開こうと思うんだけどどうかな?」 「いいじゃん!私もみんなに会いたいよ。待って将紀に聞いてみるから。」 隣で運転する将紀に話しをすると、「いいねぇ。」って乗り気で、詳しい明細が決まったらまた連絡をくれる事になった。 こういう時、同じ高校で良かったって思う。 共通の友達がいて共通の思い出があって、同窓会も一緒に行けるなんてこんな嬉しい事はない。 疲れなんて一気に吹っ飛んで、帰りの車の中は私の陽気な声で溢れていた。 「楽しみだね。」 「何着て行こうかなぁ。」 そんな私を将紀は呆れた様に見てたけど、なんだか今日はものすごくハッピーではしゃがずにはいられなかった。
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